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  • 執筆者の写真Bucho

価格交渉は可能?



“ 現在、購入を検討している物件があります。ただ、私たちとすれば、不動産の本体価格以外にも、諸費用、リフォーム費用等が発生するので、本体価格が少しでも安くなれば…というのが本心です。一般的に価格の交渉というのは、できるものなのでしょうか?”


本 blog をご覧になられた方から、このような内容のメールが届きました。


結論から言いますと、価格の交渉は【可能】です。


たしかに、売主からすれば、高く売れるに越したことはない、買主からすれば、少しでも安く買いたいのいうのが本音ですよね。いただいたメールでは、マンションや一戸建てなどの物件種別まではわかりませんでしたが、リフォーム費用という記載があったので、新築ではなく、中古物件ではないかと思います。


中古物件の場合、不動産会社を何社か呼んで、いくらくらいで売れるか、価格の査定をしてもらいますが、最終的に売り出し価格を決定するのは、その物件の所有者である売主。ということは、すべてのケースではありませんが、査定をした不動産会社の査定価格が参考になっているとはいえ、物件の当初売り出し価格は「売主の売却希望価格」となるのが普通です。よって、“高く売れるに越したことはない売主”の希望は、当初売り出し価格に反映しています。


売り出し価格が決まっている以上、“少しでも安く買いたい買主”は、少しでも安く買うために何ができるのか。価格交渉しかありませんよね。不動産を購入する場合、その意向を示すために「購入申込書」や「買付証明書」なるものを記入し、売主に提出します。そこに、いくらで買うかを記載し、不動産仲介営業を通して、売主に交渉するのが一般的です。


その後の流れは、① 買主が希望した価格を売主が了承すれば、条件合意、売買契約に進む。② 交渉を一切受け付けない売主であれば、価格交渉は叶わず、売り出しされている価格での購入を再検討。③ たとえば、100万円の値下げを希望した場合に、間を取って、50万なら値下げ可能という返事の場合もあります。その場合は、買主がそれを了承すれば条件合意、売買契約に進む。大方、この3つのどれかになります。


買主からすれば、①のパターンがもっともいいですよね。価格交渉が全面的に受け入れられた訳ですから。けれど、②の場合もありますし、③の場合もあります。


そもそも、【売主に価格交渉を行うこと自体が不可】であるということはありません。ただ、交渉しても意味がない、交渉自体が難しい【状況】というものがあります。


たとえば…


A 売り出し後、間もない物件

B たくさんの購入検討者がいる物件

C すでに、満額(売り出し価格どおり)の購入申込が入っている物件


まず、Aのケース。売り出して間もない物件は、物件が販売された情報が、購入検討者のもとに行き届いておらず、今後、購入問合せが入る可能性がありますので、売主としては、そこに期待したい心理が働きますよね。だから、交渉受け入れは難しいかと(その後、時間が経過し、他の検討者からの問合せがまったくなければ、条件合意の可能性はあります)。


Bについて、もしあなたが売主の立場であれば、交渉を受け入れなくとも、ほかの検討者で契約になるんじゃないかと思いますよね。だから交渉は難しい。


Cは、言わずもがな。高く売れるに越したことはない売主が、満額の申込を蹴ってまで、価格交渉してきた方を選ぶことは、まずもってないですよね。


安く買いたい気持ちはわかりますが、現在の売り出し状況が、上述のような場合は、交渉しても意味がない、交渉自体が難しいと思います。


これは余談ですが、前職時代に、売り出し新着物件に必ずと言っていいほど、問合せをしてこられるお客様がいらっしゃいました。その後、内覧を経て、いつも「価格はいくらまで下がる?」、「400万円下がったら、買う」とおっしゃっていました。


上記Aの状況ですから、交渉が難しい旨を説明すると、「とりあえず交渉してみて」と言われます。不動産仲介営業からすれば、これが一番困ります。このお客様からすれば、交渉が通る可能性が0じゃないと思っていたかもしれませんが、売主を知っている私からすれば、可能性は0です。まして、売り出しを開始して数日しかたっていないのに、400万円の値下げ交渉付きの申込が入りましたとは、売り出し価格との乖離が大きすぎて、売主には到底言えません…。おそらく、私がいた会社だけではなく、そのエリア内で、ご自身の希望条件に合った物件の販売を開始した会社には、同様のことをされていたんだろうなと思うと、いろんな会社の営業さんを困らせていたんじゃないかと思います。こんなことをしていたら、営業に嫌われてしまい、逆に、いい物件が買えなくなってしまいますよね。


つまりは、上記A~Cの状況ではなくても、あまりに大きい金額の交渉は、やめた方がいいと個人的には思います。売り出し価格との乖離が大きすぎると、売主が怒ってしまって、上記③のような、売主、買主、双方歩み寄りのキャッチボールにすら進めなくなる可能性があるからです。


少しでも安く買いたい気持ちは、重々理解しています。だけど、その交渉が、度が過ぎたものにならないように、営業担当者とよく打合せをして、交渉額を決めてみてはいかがでしょうか。


お問い合わせの文面からは、交渉を入れたいと思っている物件を気に入っていることが伝わってきます。交渉がうまくいくにしても、いかないにしても、せっかく気に入った物件と出合えたんですから、気持ちよく契約に進めるといいですね。


このたびは、ご相談をいただき、ありがとうございました。こうやって、日々書いているblog をみて、お問い合わせをいただけると、書いている私も励みになります。このたびはありがとうございました。


ではまた。



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