• Takayuki Tsuda

「手付金」と「頭金」の違い



新築の建売住宅にしても、中古のマンション等にしても、ご自身たちが希望する物件がみつかり、売買契約に臨む際に、一般的に必要となるのが「手付金」です。


手付金とは、goo辞書によると「売買や請負などの契約締結の際に、その保証として当事者の一方から相手方に交付される金銭。契約が履行されたときは、代金の一部に充当されることが多い。手付け金。手金」と定義されています。


不動産売買契約において、上述の定義に記載の「当事者の一方」が買主、「相手方」が売主となり、売買契約時に、買主から売主に交付する形となります。たとえば、手付金が400万円と設定されている場合は、売買契約時に400万円が必要となります。



次に「頭金」とは、どういう性質のものになるかというと、同じくgoo辞書によると、「分割払いなどで、最初に支払うある程度まとまった金銭」というふうに定義されています。


これは、不動産売買契約において、たとえば不動産の本体価格と購入にかかる諸費用のトータルが4,200万円かかる場合、400万円は預金から現金で捻出し、残りの3,800万円を住宅ローンで用立てるとした場合の、現金400万円のことを意味します。



この「手付金」と「頭金」を混同してお考えの方が、数多くいらっしゃいますが、意味合いは全く異なります。


まず、頭金についてですが、これは上述のとおりです。物件購入において、自己資金をいくら出すか、その金員のことです。



 ※ 余談

   購入本体価格:3,800万円 借入期間:35年、金利:0.775%、ボーナス返済なし

 

    ① 借入金額:4,200万円(フルローン)の場合

     毎月の返済額:114,206円

  

    ② 借入金額:3,800万円(自己資金400万円)の場合

     毎月の返済額:103,330円

 

    自己資金から頭金400万円を捻出することで…


    ● 毎月の返済額が 約10,876円 変わります。

    ● 住宅ローンを借り入れた金融機関に支払う35年間の利息が

     約568,279円 変わります。

   

購入における資金計画は、非常に大切です。当 blog にもその重要性を記しています。詳しくは、2022年4月11日公開「購入における資金計画の重要性」を参照ください。



次に、手付金とはどういう性質のものかと言いますと、不動産売買契約においては、解約手付を意味します。解約手付とは、これまたgoo辞書によりますと、「売買・請負などで、契約の両当事者に解除権を留保させておくための手付け。手付けの交付者はこれを放棄することで、受領者はその倍額を返還することで、契約を解除できる」とされています。


つまり、要約しますと、売買契約締結後に売買契約の解除を行う場合、手付けの交付者(=買主)から解除する場合は、手付金を放棄することで売買契約を解除でき、受領者(=売主)から解除する場合は、その倍額を買主に返還することで売買契約の解除ができるというものです。倍額を返還することを、不動産業界ではよく「手付の倍返し」と言います(半沢直樹みたいですね 笑)。


では、なぜ、受領者(=売主)側からの解除の場合は倍額なのか。


よくよく考えれば、交付者(=買主)から交付された手付金を返すだけでは、手付金が買主の手元に戻っただけで、売主は一銭も身銭を切っていませんよね。


上述の例になぞらえて、手付金が400万円とした場合の説明をします。


売主は、まず一旦、手付金400万円を買主に返還し、さらに買主に対し、手付金相当額である400万円をプラスで支払うことで、契約の解除が可能になります。これで、売買契約の解除をするにあたり、売主、買主の双方が400万円のペナルティを公平に負うこととなります。


では、手付金の相場とはいくらくらいか、ということですが、一般的には、売買価格の10%

前後とされていますが、物件の規模や種別、売買契約から引渡しまでの期間、物件所有者である売主の意向により、変動します。具体的に言いますと、本体価格が3,800万円の場合、10%であれば、380万円の現金が売買契約時に必要となるということです。


しかしながら、当然に、そんな大きな金額を今準備することは難しい、という状況もあり得ます。その場合は、私たちのような仲介業者が売主サイドに相談し、妥協点を見つけることとなります。そしてその妥協点を見出すにあたり、必要となるのは「買主が今、いくらの現金を用立てることができるか」という点となります。


たとえば、380万円は無理だけど、100万円だったら手元にある、といった場合は、売主に対し、手付金が100万円でよいか、伺いを立てます。了承が取れれば、手付金100万円で売買契約を締結する運びとなります。ただ、この交渉には、限界もあります。



なぜ、限界があるかというと…


上述のとおり、不動産売買契約においての手付は、解約手付の意であるからです。


たとえば、手付金が10万円であった場合、どうなるでしょうか。


買主は、売買契約締結後、引渡しまでの間に、売買契約を締結した物件よりもいい物件が、契約した物件よりも200万円安く売り出されているのを見つけたとしましょう。もし、あなたが買主だった場合、どう思いますか?笑 


私なら、契約した物件の契約を解除して、200万円安い物件に乗り換えるかもしれません。なぜなら、契約解除のペナルティは10万円なんですから。手付解除であれば、あくまで、契約の当事者の都合による解除のため、仲介手数料は請求されます。


わかりやすく、上述の例をもって話しますと、3,800万円の売買契約の場合の正規手数料額は税込132万円。それに、契約解除によるペナルティ10万円を支払っても、142万円。もう一つの気に入った物件は200万円安い訳ですから、そちらに乗り換えたくなりますよね。



このようなことがないように、売主は手付金をできる限り高く設定したいんです。しかし、これは買主にとっても同じです。もっと高く買ってくれる相手方が見つかったら、容易に契約が解除されてしまいます。いくら契約書に記載された内容に則った、正当な解除とは言え、せっかく気に入って契約した物件が解除され、別の人の手に渡ってしまうのは嫌ですよね。



まとめ


不動産を購入するとき、頭金(自己資金)を入れる、入れないにかかわらず、物件価格がいくらかによって、手付金の設定額は異なりますが、売買契約時に一定額の手出しが必要となります。それは、契約の解除に影響を及ぼすものであるため、1,000万円以上の物件であれば、10万円や20万円で事足りるものではなく、100万円以上はかかるという認識を持っている方が良いと考えます。


いい物件に巡り合ったときに、契約がすぐできるように、手付金の準備もしておきましょう。ではまた。