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  • 執筆者の写真Bucho

空家となる不動産、売った方がいい?それとも貸した方がいい?



こんにちは、bucho です。


GW休暇も明け、本日より営業を再開しております。

今月も、引き続き、宜しくお願いいたします。


コロナ禍のGW、今年は過去2年とは異なり、博多どんたくや有田陶器市など、中止されていたイベントも開催され、人の動きも活発だったようですね。


まとまった休みの後にいつも感じるのは、パソコンのタイピングに違和感があることです。うまく指が動かず、タイプミスが増えます…。今、こうやって blog を書いていても、普段よりも時間がかかります。そんな、いわゆる“休みボケ”に抗いながら、書いていきたいと思いますので、引き続き、宜しくお願いいたします。



さて、今日のテーマは、【売却か賃貸か】です。


これも、よくあるご相談の一つですね。当該不動産から、何らかの事情があって離れることになったとき、当然に愛着がおありでしょうから、【賃貸】という選択肢を含めて検討されるお気持ちはありますよね。


私がこの手のご相談をいただいたときにお話しすることをまとめました。


まず、空家になったときの活用方法を大別すると、以下の3つとなります。


 ① 売却 ② 賃貸(親族等への使用貸借含む) ③ 何もしない


そして、【近い将来、その不動産に戻ってくる可能性があるかないか】が、上記3点を選択する上で大切ではないかと個人的には考えます。


私の場合は、ご相談者の9割以上が①を選択しています。近い将来、戻ってくる可能性とは、たとえば、“3年間の期間限定での転勤”、“親の介護で、一時的に離れる”などです。


これらのような、定期もしくはある程度時期が見通せる事情の場合は、②や③も選択肢になり得るかと考えます。


ただ、現実的に③を選択される方はほぼいません。空家であっても、所有している限り、固定資産税・都市計画税や分譲マンションであれば管理費、修繕積立金の支払いは免れないため、何もしなければ、それらコストを垂れ流すだけです。それでも、③を選択ないし検討される方は、経験上、②のデメリットを把握もしくは経験された方でした。


では、②のデメリットとは、どういったことでしょうか。


 A. 貸すためにはそれなりの改装工事が必要となる(=先行投資)

 B. 貸している間の設備的な不具合、雨漏り等の構造的な不具合などの交換、補修は貸主の責任と負担となることが一般的

 C. 戻ってくることが決まったとき、借主が退去してくれるとは限らない

 D. 退去後、室内外が荒れている可能性がある など


賃貸募集をされている物件のほとんどが、今すぐにでも住める状態のため、壁紙を貼り変えたり、ハウスクリーニングを入れたり、所有者様が住んでいた物件を改装することも必要ですよね。それらを実施するのに、いくらかは先行投資が必要になります(A)。


また、貸している期間中の設備等の不具合の補修等は、貸している側の責任と負担となる場合がほとんどです。お湯が出なくなった、雨漏りしているなど、急な出費も考えれれます(B)。


そして、たとえば、所有者様が本物件に戻ってくることが決まり、借主が退去されたとしても、場合によっては、室内外が想定以上に荒れていることがあり、残念な思いをするケースもよく聞きます(D)。やはり、所有者と所有者ではない借主では、物件に対する思い(=空いた着)が違うため、このようなことが起こり得るのでしょうね。


C. については、普通賃貸借契約である場合、賃借人(借主)の立場が強い契約となっているため、退去を促しても、退去してくれるとは限りません。普通借家ではなく、予め、貸す期間を定めた契約(=定期借家契約)での対応も可能ですが、たとえば、3年後には退去しないといけない契約というのは、借主からすればマイナス要素ですよね。であれば、そんな居住期間が定められた物件を借りるより、定めのない物件を借りる人の方が多いでしょうから、周辺相場より賃料を下げて募集する必要性も出てきます。


上述した②のデメリットを懸念される方は、③も含めて検討されますが、やはり、使っていない不動産の維持・管理費がもったいないよねという結論となり、①に至るケースがほとんどでした。



次に、①と②の比較です。


冒頭にも申しあげましたとおり、たとえば、転勤の場合でも、3年後に戻れるなどの期間に定めがなく、もしかしたら、片道切符の転勤かもしれない、福岡に戻って来れても、20年後の定年退職したときかもしれないといった場合は、今の私は①をすすめています。


第一は、やはり、現在の不動産市況が【売り手市場】であることです。私が、不動産業界に入った10年前と今では、比べ物にならないほどに、不動産市況が上昇しました。


当時、不動産の価格査定の依頼をいただいた物件のなかには、住宅ローンの残債よりも、売れる価格が低い、いわゆる【売りたくても売れない人】が多数いらっしゃいました。たとえば、住宅ローンの残債が2,000万円で、売れる価格が1,500万円だとすれば、単純計算で500万円の手出し(現金用立て)が必要となります。売れないなら、貸すしかないという理由で、②を選択される方もいらっしゃいました(※ 本来、住宅ローンは、自己居住用が前提のため、貸すとなると、金融機関との折衝が必要です)。


それでも、売りたいという人は、まとまったお金が必要でした。そうまでして売った人もいましたが、ほんの少数です。そもそも、売却したい理由が【住宅ローンの支払いが困難】という場合において、まとまったお金を用立てられる人はなかなかいませんよね。生活が苦しいから売りたい訳ですから。


売れないなら、今の毎月のローン返済額よりも低い賃料の賃貸物件に引っ越して、今の家は貸すという流れになりますが、借りる先は、今の家より程度が落ちます。まして、今の家はあくまで貸している状態。固定資産税等の負担もあるし、上述した A.~D. のようなリスクをはらんでいます。


色々、策を講じたものの、それでも苦しい場合は、結局、住宅ローンを借りている金融機関への返済が滞り、任意売却や競売となります。


市況の悪い時代から、不動産の営業を行っている者とすれば、上述したようなことがもっとも怖いし、もっと言えば、こうなったら、私たちが、お客様に対して提案できることは、何もありません。頼ってくれたお客様に対して、何ら提案できないという状況が、私にとってはもっとも嫌なことでした。


そういう前段があるので、当該不動産に戻れる見込みがない、目途が立たない場合、私は①をすすめます。愛着がおありなのは百も承知です。ただ、売れる時に売っておくことが一番安心ではないかと思います。



それともう一つ、住宅ローンの残債がある状態で転勤となった場合。これを賃貸に出しても、残債が消える訳ではありません。もし、福岡の次の赴任地を気に入り、子どもも大きくなってきたから、また家を買って、家族の拠点を作ろうとなったとき、貸している物件の残債がネックとなり、買えるだけのローンが組めない、もしくは、貸している物件の抵当権抹消(=全額返済)を条件に購入物件のローンが下りる、など、現在の残債が足かせとなることがあります。


だったら、そのときがきたら、貸している物件を売ればいい、とお思いになると思いますが、立地や賃料に影響されますので一概には言えませんが、ほとんどの場合で、貸している物件は、貸していない状態よりも安くなってしまいます。売る、貸すなどを検討する際は、このような、将来の計画も考慮しないといけませんね。



長くなってしまいましたが、この手のご相談の場合の私の提案は、【近い将来、空家になる不動産に戻ってくるか否か。戻ってくるなら、賃料収入で儲けようなどと欲を出さず、あくまで繋ぎとしての賃貸も視野に。戻って来ない、戻って来るとしても大分先…といった場合は、売ることを柱として検討】。このようになります。


売る、貸すなどの判断は慎重に。目先のことに捉われず、将来の計画まで、中長期的な視野で検討されますよう…。


ではまた。



追伸 空家が増えている昨今、私たちのような不動産会社に相談されているものは、現況空家の不動産のなかでは氷山の一角。特に売る必要もない(①)し、貸すのも面倒(②)だから、何もしていない(③)、という方も数多くいらっしゃいますので、上記内容は、あくまで、空家となる所有不動産の活用について、相談いただいていることが前提となります。その点、ご理解いただきますよう…。


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