Bucho
売却編:中古分譲マンションの査定について
こんにちは、buchoです。
天気の良い日が続いていますが、朝晩は大分寒くなってきました。風邪などひかぬよう、体調面にはくれぐれもお気を付けください。
今日は久々の本音blog。テーマは「中古分譲マンションの査定について」です。
どの会社もそうと思いますが、大抵の場合、当該物件が存するマンション内および当該マンション周辺の類似物件の取引成約事例をもとに、当該物件とそれら成約事例の比較をして、価格を割り出しています。
この段階で大切なのは、①類似物件とはなにか、②類似物件の成約時期、③比較する類似物件の事例の数、です。私がマンションの査定を行う場合は、この3点を意識しています。一見すると、「何を今更…当たり前やろ!」とお思いになるでしょうけど、まぁ最後までお付き合いください 笑
そもそも「類似物件」とはなにか。読んで字の如く、当該物件と似ている物件のことですが、ここで重要なのは「類似」の定義。たとえば、お部屋の広さ(専有面積)が同等、築年数がほぼ同時期なら、類似と言えるでしょうか。答えは「No」です。
バルコニーの方角が違ったり、2階と10階など階層が違ったり、当然、室内程度も違いますよね。同じマンション内の別のお部屋との比較であれば一緒ではありますが、他のマンションとの比較となれば、分譲会社も違えばエントランスなどの共用部分も違う、駐車場が機械式なのか平置きなのかも違う、管理状況も違う、スーパーやコンビニ、学校までの距離等、周辺の生活関連施設の充実度合いも多少違うはずです。
さぁここからケーススタディ。
例:査定物件(Aマンション)=5階部分、80㎡、南向き、築25年、水回りの交換歴なし
営業「真下のお部屋(4階)が2,500万円で売れているので、査定価格は2,600万円です!」。この営業のセリフ、率直にどう思われますか?
まず、比較された真下のお部屋の室内程度はどうだったか気になりませんか。もしかしたら、真下のお部屋はキッチンやユニットバスなどの水回りがすべて交換済みのいわゆるフルリフォームのお部屋だったかもしれません。逆に、荒れ放題のお部屋だったかもしれませんね。もっといえば、比較事例の4階は隣接するビルと被って陽当たりも眺望も悪く、5階からは陽当たりも眺望の抜け感もまったく異なるのに、階層が1フロア上下するからというだけで、100万円しか違わないというのは、違和感しかないはずです。
まして、上述の②類似物件の成約時期について。2,500万円で売れたのが4年前ならどう思われますか。この点だけで言えば「今はもっと高いだろう」と思いませんか?比較するなら、直近の事例の方が当然にいいかと思います。
それと上述の③比較する類似物件の事例の数。この一件の事例だけで「査定価格は2,600万円です!」というのは、査定価格としての根拠が薄いですよね。同じマンションに限らず、他のマンションのお部屋と比較することで、エリアのおよその相場観も見えてくるはずですし。やはり、複数の事例を確認したいものです。
よって、前記の①~③の要素は、物件査定において、肝要なポイントと言えます。そして、勘違いをしてはならないのは、これはあくまで「査定価格」であるということ。言葉が適切ではないかもしれませんが、査定というのは、いわゆる現実。しっかりとした現実を把握するためにはしっかりとした根拠が必要と思いませんか。
高値で査定されるのは、依頼者である売主さんからすればうれしいもの。そのお気持ちはわかります。私だって同じ立場なら絶対にうれしいはず。でも、根拠のない高値査定は、担当する営業の思惑で補正されているかもしれないという現実を、一度冷静になって見極めたいものです。
査定という現実を把握した上で、いくらで売り出すかを考える。業界は違えど、小売業の新商品の価格設定などは、しっかりとしたマーケティングを経て決まっています。これは、ご自身が所有する不動産の売却についても同じこと。大切な資産である不動産。それを売るなら、いいことも悪いこともひっくるめて提案してくれる営業に託したいものですね。
ではまた。
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