インスタマガジン【MAVES】1月号発行のお知らせ|福岡の不動産会社の営業日報的ブログ
こんにちは、buchoです。
定期発行しているインスタマガジン「MAVES」。1月号を発行いたしました。今号の巻頭特集は引き続き、「マンションを売る」。前号をご覧になられた方からダイレクトメッセージでご相談を賜り、実際に応対させていただきました内容をインタビュー形式にまとめております。
所有しているマンションを売りに出したけど、売れない…。不動産に限らずですが、モノを売るということには、売れないリスクはつきもの。夜遅くにスーパーに行ったら、惣菜コーナーに陳列されている商品に【半額】シールが貼られていませんか?洋服を買いに行ったとき、季節外れの商品には【○%OFF】のタグが貼られていませんか?これらは、期待された時期に売れなかった商品を売り切るために行っていることです。
私自身もそうですが、【同じ】モノを買うなら、安く買いたい。まったく同じものが片や100円、片や50円で売っているなら、間違いなく後者を選びます。「100円で買ったのに、こっちの店じゃ50円やん!うわー、損した」。これが一般的な買い手の心理と思います。やはり、何かを購入して、損した!とか失敗した!とかっていう気持ちにはなりたくない。変なモノをつかまされた…という後悔もしたくないですよね。
これが不動産となると、当然ながら、惣菜とか洋服よりも高額なお買いもの。買い手はより慎重になります。慎重になると、どのような行動を取るのか。私だったら、おそらく情報収集を徹底して行います。
自身が希望している不動産購入条件にほぼ合致しているマンション「以下、A」が、4,000万円で売りに出された。希望条件にほぼ当てはまってるけど、4,000万円という販売価格は高いんだろうか?過去はどの程度で売りに出されていたんだろうか?そもそも新築時の価格はいくらだったんだろう?Aと同じようなマンションはいくらくらいで売りに出されているんだろう?そして、行き着く先は、そもそもこのAというマンションは、いいマンションなんだろうか?
今はネットで大抵のことは調べられます。もちろん、ネットで得られる情報の質は精査しなければなりませんが、Aの名称を検索バーに入力したら、様々な情報が出てきます。それが良くも悪くも、買い手の購入意欲に影響を及ぼしているのは言うまでもありません。
さらに深掘りします。
前述のような心理を持たれている買い手はおそらく多数派。いい物件があったら本気で買いたい!と思っていればいるほど、その心理に基づく行動量は増えます。そんな買い手は、ともすれば不動産会社の営業担当よりも、希望しているエリアに限って言えば、詳しいかもしれません。そのくらい、情報を収集しています。
その行動によって培われた当該エリアの【相場観】。不動産ポータル大手のSUUMOやアットホーム、ライフルホームズ等では、希望条件を予め登録しておけば、その条件下で販売が開始されたいわゆる【新着物件】がリアルタイムで買い手のもとに届きます。
なんとなく、自身の希望する条件の物件の相場観が3,500万円くらいと想定しているのに、たとえば4,500万円で売りに出たら、どう思うでしょうか?たぶん私なら、「ん、これはフルリフォーム済みの物件なのかな?」とか「最上階の角部屋で専有面積もけっこう広いのかな?」って思うはずです。
で、実際に届いた物件情報の詳細ページをみて、リフォーム歴がなかったり、最上階だとか室内がすごく広いとか、稀少性の高いお部屋でもなかったとすれば、ただ単に「うわー、高ー」。となって、閲覧終了。次に、この買い手がこの物件を「興味を持って」みるときは、【価格改定物件】として、再度ポータル側からメールが届いたときくらいでしょうね。
少し余談ですが、買い手の心理の補足。前述の4,500万円の物件が、この価格では残念ながら売れず、4,350万円に価格を改定するとします。それでも売れず、4,100万円になったとします。これまた売れず、ついには3,990万円になったとします。これらは、各ポータルによって言い回しは異なるものの【価格改定物件】という形で、買い手に伝わります。
これをみたとき、私だったら、「待てばもっと下がるんだろうなー」と思うはずです。もっと言えば「当初の4,500万円ってなんだったの?」と思うはず。こうなると、この物件には【格】のようなものはなくなりますよね。だって、「売れないから価格を下げたんでしょ。しかも、何度も何度も」。こう思われるのが関の山。前述した、変なものをつかまされた感を抱きたくないのが買い手の心理。当初販売価格が高かったとはいえ、何度も何度もディスカウントして、そのたびに買い手から選ばれることなく売れ残った物件を買うのは、やはり心理的に嫌ですよね。そんなある意味レッテルが貼られた物件は、最終的に相場以下での成約となるリスクも孕んでいます。気を付けたいですね。…余談でした。
話をもとに戻しますね。
各種ポータルサイトから受け取る新着情報。多くの場合は、これが一次フィルター。これら情報が、エリアに潜在する買い手に周知されるのは、時間にして売出開始から3週間くらいでしょうか。この期間内に【内覧】に繋がらなかった場合、次のチャンスは【価格改定後】。当然、改定前でも、内覧は発生する可能性はありますが、不動産会社の営業担当者から「ちょっと高いかもですけどとりあえず内覧してみませんかー」と言われて行った、いわゆる【参考見学】発生くらいかな、と私は思います。
今号の「MAVES」。ご相談者様は、内覧が1件も発生していないとおっしゃっていました。これは、当該物件が存する市場に潜在する買い手から「NO!」を突き付けられていることに他なりません。言葉は悪いですが、買い手から【見向きもされない】物件と化しています。こんな状況に陥ることは、はっきり言って、もったいない。
今回のご相談者様は、当初販売価格の設定が高いとわかっていたけど、机上査定とは言え、不動産会社が提示した価格だから、チャレンジしたかったという経緯があります。これは逆に、売り手の心理とすれば致し方ないこと。だって、売り手からすれば、1円でも高く売りたい訳だし、まして、不動産会社に相談して提示された価格なんだから、成約を期待して当然。ただ、チャレンジはここまで。現実的な価格に改定されるということですし、しっかりと物件アピールをしてくれる不動産会社に任せているので、近い将来に成約が見込めると思っています。
ただ、これはどちらかというと稀有な事例。
この事例の裏側に、たくさんの失敗事例があることを理解することが大切です。売り出し前にはいいことしか言わない、そんな営業だらけだと把握することが大切です。そして、売れなくて困るのは、不動産会社でもなく、営業担当でもなく、売り手本人だと認識することが大切です。
これを稀有な事例としているのは、我々不動産会社および営業担当に責任の一因があると私は考えています。売り手の「少しでも高く売りたい!」という心理を利用した高値査定。価格査定等の売却相談時点では売り手にとって耳障りのいいことしか言わない風潮。物件を預からないと(媒介契約を取得しないと)売上にならないから、という不動産会社本位の営業スタイル。これらが、この事例を稀有にしてしまっている要因です。
愛着がおありなはず不動産が、市場から売れ残り感を抱かれる物件にならないように、本気で買いたい!と思っている買い手が行っている情報収集に負けない【現状把握】が、より良い条件での成約を目指す術であり、売り手である自分自身を守る方法。そして、それを実現してくれる不動産会社の営業を見つけることが、その近道となります。安易な提案、根拠のない査定価格。買い手がいるから任せてくれといった不動産営業の常套句に惑わされないようにしたいものですね。
烏滸がましくも、色々と書いてしまいましたが、これが、この業界にいる私の本音です。信じるか信じないかはあなた次第(どこかで聞いたフレーズ笑)。
ではまた。
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